糖尿病はインスリンの作用が不足する病気です

血液中のブドウ糖は、体の細胞を活動に欠かせない大切なエネルギー源となっていますが、量が増えすぎると、高血圧や動脈硬化を引き起こしたり、進行すると全身に合併症が現れます。

専門医の診察を受ける患者

血液中のブドウ糖の濃度を「血糖値」といい、膵臓から分泌されるインスリンと呼ばれるホルモンによってコントロールされています。

インスリンには、血液中のブドウ糖を細胞に取り込み、エネルギーに変える働きがあるため、インスリンの分泌量が低下したり、上手く機能しなくなると、血糖値が上昇してしまうのです。

血液中のブドウ糖は、尿中に排出されますが、腎臓で再び吸収されますので、血糖値が正常な人は、排出された尿に糖が含まれることはありません。しかし、血糖値が高いと、腎臓で吸収できない唐が尿と一緒に体外に排出されます。そのため、尿検査で糖が出るのは、糖尿病の最初の兆候といえます。

ただし、血糖値に異常がなくても、糖が尿の中に出ることがあります。腎臓での再吸収の力が弱いために起こる「腎性糖尿」と呼ばれるもので、特に治療を行う必要はありません。尿検査だけでは糖尿病なのか、それとも腎性糖尿なのか判断できませんので、採血をして血糖値を測定する必要があります。

糖尿病を診断する際に測定するのは、「空腹時血糖値」や「ブドウ糖負荷後2時間血糖値」、さらに1〜2ヶ月の血糖コントロールの状態を調べる「HbA1c(ヘモグロビンA1c)」などです。これらの糖尿病の検査によって医師の確定診断がついた場合、糖尿病の状態や合併症の有無を調べるために、「眼底検査」、「尿タンパク検査」、「血圧測定」、「心電図検査」などが行われ、これらの結果とともに、医師は治療方針の決定します。

糖尿病には、インスリンの生産そのものが不足しているため、注射などでインスリンの補給が必要な「1型糖尿病」と、インスリンは生産されているものの、十分に機能していない「2型糖尿病」があります。日本人の95%は2型糖尿病で、中高年に多く見られます。

2型糖尿病が厄介な病気とされるのは、血糖値が高くなっても、初期には自覚症状がほとんどなく、5〜10年と時間をかけて静かに進行していき、体の倦怠感、多尿、喉の渇き、体重減少などの自覚症状が現れる頃には糖尿病がだいぶ悪化していることが多いという点です。さらに、血糖値のコントロールが十分でないと、糖尿病網膜症糖尿病性腎症神経障害などの合併症をきたす恐れがあります。

糖尿病になると、血管が拡張しにくくなったり、血管や細胞が傷ついて、動脈硬化が進行します。また血液が凝固しやすいことも合わせて脳梗塞の誘因となります。実際、糖尿病の人は健康な人に比べて脳梗塞の発症率が2〜3倍高くなるというデータもあります。

食事療法と運動療法が治療と予防の2本柱となります

糖尿病の原因は、栄養の偏った食生活や運動不足、ストレス、肥満などの悪しき生活習慣が長年続くことにあります。一度発症すると血糖コントロールが上手く行っていても、一生付き合わなければならない病気ですので、糖尿病予備軍とされる人も早めに血糖管理に取り組むことが大切です。

中高年は日々の健康管理が重要

予防の治療の中心は「食事療法」と「運動療法」になります。食事療法では、一食毎のカロリー管理や食後血糖値を急上昇させない工夫が求められます。ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動には血糖値を直接下げる効果があります。

これらの生活習慣の改善を行っても、血糖値のコントロールが十分でない場合は、経口薬やインスリン注射による薬物療法の出番となります。

糖尿病の患者さんも治療を行う医師もできるなら薬に頼ることなく、食事療法と運動療法のみで血糖をコントロールしたいと思っています。しかし、実際にはそれだけでは血糖値は低下せず、HbA1cも8%以上と血糖コンロールが上手く行かずに、薬物療法以外に手立てがないというケースが多くなっています。

このような状況下では、膵臓はインスリンを最大限分泌しようとしているため、膵臓にかかる負担が大きくなり、最終的にはインスリンの分泌を低下させてしまいます。そのため、膵臓に余力が残っている糖尿病の初期の段階から薬物療法を開始したほうが、膵臓の負担軽減にもなり、薬物療法の効果も期待できることが多くなっています。

近年、血糖コントロールのための経口薬は種類が増えており、患者さんの状態にあわせてさまざまな選択ができるようになりました。薬物療法の最初の段階では、経口薬は単独で処方されますが、相乗効果を期待して複数の薬剤を組み合わせて服薬している患者さんも少なくありません。以前はインスリン注射しか選択肢がなかった人でも、現在は経口薬のみで治療が可能なケースも少なくありません。

近年はドラッグストアなどでも「ワンコイン健診」と銘打って、HbA1cの簡易検査(所要時間は数分)が受けられるようになったので、定期的なセルフチェックに便利です。


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