タンパク尿は糖尿病性腎症の初期症状

腎臓には、毛細血管がからみ合う房のように塊となった糸球体(しきゅうたい)という組織があります。糸球体は左右の腎臓にそれぞれ100万個あって、血液を濾過していますが、高血糖によって障害が起きると、尿にたんぱくが出てきます。これが糖尿病腎症です。

腎臓は、水分や不要物を尿として排泄する役割を担っていますので、これが正常に機能しなくなると、命に関わることになります(腎不全)。糖尿病の患者さんの約15%が、腎不全によって亡くなっています。

糸球体に障害が起きる原因は二つあります。一つ目は、毛細血管の壁が粗くなり、血管が詰まったりたんぱくが尿中に漏れ出してしまうことです。二つ目は、毛細血管の周囲を取り巻いているメザンギウム細胞の収縮機能が低下し、糸球体が持つ血流の調節機能が落ちてしまうことです。

糖尿病腎症は、たんぱく尿や腎臓の状態によって、いくつかの段階に分類されます。「早期腎症期」は、尿中に流れ出すたんぱくの量が微量なため、従来の尿検査ではその多くが見逃されてきました。しかし、現在はアルブミンというたんぱくの微量検出検査法が広く普及し、早期発見が可能となりました。

糖尿病腎症の進行を抑えるためには、医療機関で微量アルブミン検出検査を定期的に受け、この段階で発見し治療を開始することが大切です。そして、年に1度は腎臓の専門医の診断を受け、腎臓の状態を調べてもらいましょう。この段階で、血糖や血圧の管理を厳格に行えば、健康な人と同じ生活を送ることができます。

早期腎症が進行すると、通常の尿検査で検出できるほどの量のたんぱくが流れ出します。これが「顕性腎症期」で、血圧も上昇し、眼底出血や神経障害も多くなります。

この段階の後期になると、尿に多量のたんぱくが流れ出して低たんぱく血症となり、コレステロールが高くなったり、高血圧、むくみなどの症状も悪化します(ネフローゼ症候群)。このまま放置していると、5年以内に腎不全になりますが、血糖管理、安静、食糧法を適切に行えば、進行を食い止めることも可能です。

さらに悪化すると、腎臓の機能そのものが低下し、本来なら尿中に排出される毒性物質が血液中に貯まるようになります。これが「腎不全期」です。この段階になると、治療には人工透析か腎臓移植を行うしか方法はありません。


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